アカメガシワ(赤芽柏)という呼称は、春先の新芽が鮮やかな赤色であること、そして葉が柏のように大きくなることから名付けられたものです。本州・四国・九州・東南アジアの山野に自生し、雌雄異株で、日本では、空き地などによく生えています。
木質としては軟らかく、床柱・下駄・薪炭に用います。樹皮は日本薬局方に記載の生薬で、これを煎じたものは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多症に効果があるとされています。また、果実の軟針は駆虫剤に用います。
アカメガシワは医薬品だけに使用される成分として指定されていましたが、平成13年の厚生労働省の医薬品の範囲に関する基準の改正によって、今では食品にも使用出来るようになっています。
そして、医薬品として利用されるのは樹皮ですが、民間では、樹皮よりも、赤い新芽と新葉、赤い葉柄の干したものの方が好んで利用されます。
アカメガシワに含まれるベルゲニン(Bergenin)は、ポリフェノールの仲間で、消炎鎮痛作用、健胃、整腸作用をもたらす主成分と考えられています。
ベルゲニンには、アドレナリンと受容体の結合を刺激・増幅する作用があることで、脂肪細胞に溜まった脂肪の分解を促し、ダイエットに効果が期待されています。
また、ベルゲニンをはじめとするポリフェノールには、膵リパーゼを阻害する作用もあるとされています。
食事で摂取した油脂は、腸内で膵リパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解されることで、腸管から体内に吸収されます。アカメガシワのポリフェノールは、この膵リパーゼの活性を阻害し、腸内で油脂が分解されるのを阻害することで肥満予防に効果があるとされています。
アカメガシワは、胃・腹部の膨張感の改善にも効果があると言われていますが、それだけでなく血液の循環も良くする作用があると言われており、またストレスの緩和や精神安定の効果もあると言われています。
アカメガシワの主な成分として、樹皮にはベルゲニン、ルチン、タンニン、葉にはゲラニイン、ルチン、マロプレノールとそのリノレン酸エステル、種子には強心配糖体のコロトキシゲニン、マロゲニン、コログラウシゲニンなどが含まれているとされています。
島根県産業技術センター(松江市北陵町)の研究によると、アカメガシワの葉に、肌質の改善やダイエットの効果があると報告されています。
研究では、体格指数(BMI)二五以上、体脂肪率25%以上で、肌弾力が低めの成人女性十一人に、アカメガシワ葉の乾燥粉末一グラムを朝夕食前の一日二回、連続八週間摂取することでの変化を調べています。
その結果、ダイエット効果では、体脂肪率が平均1・2ポイント減少した一方で、筋肉量は六百グラム増加しています。研究員の言によると、これは、体脂肪率が下がり、基礎代謝量が上昇する理想的なダイエット効果とされています。
また、肌質の改善効果が顕著に表れ、肌のきめ個数は一ミリ当たり平均一・三六個だったのが、一・四四個に向上する美容効果もある期待できるとされ、被験者アンケートで、シミやそばかす、顔全体のくすみについても改善したとする報告があります。