必須脂肪酸のリノール酸とα‐リノレン酸は、どちらも体内で合成できないことから、食事などで摂取しなければなりません。必須脂肪酸は微量でも、体の各組織を正常にする働きがあります。
リノール酸はn-6系(nマイナス6ケイ)の必須脂肪酸で、n-6系の必須脂肪酸の欠乏は、髪のパサつきや抜け毛などのほか、創傷の治癒の遅れの原因とされています。
また、血中コレステロール値や中性脂肪値を低下させる働きがありますが、これは一時的なものとされていて、長期的には下げることはありません。
メタボでは、血中コレステロール値の高さが注目されていますが、実は、リノール酸の過剰摂取の方が動脈硬化や癌の原因であり、アレルギー過敏症も引き起こすとする報告があります。
そして、リノール酸の過剰摂取の弊害を抑制する作用があるとされるのが、α -リノレン酸などのn-3系脂肪酸です。n-3系脂肪酸は、ω-3脂肪酸(オメガ 3 しぼうさん)とも呼ばれ、他に、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)があります。
α -リノレン酸は、血液中の脂質濃度を下げる働きがあるといわれていて、コレステロール(悪玉コレステロール)や、中性脂肪を下げる作用があるとされています。
さらに、動脈硬化・心筋梗塞予防、高血圧予防、脂肪肝(肝臓の病気)予防、高脂血症予防、加齢黄斑変性予防、メタボリックシンドローム予防、ダイエットに効果があるとされています。
そして、脳の活性化による記憶力のアップ、花粉症・アトピーなどアレルギー症状の緩和、抗うつ作用・イライラを抑える作用をも期待できるといわれているようです。
クルミに含まれているα -リノレン酸をより効率的に体内へ吸収させるためには、クルミを細かく砕いて食べることが最も有効です。
α -リノレン酸はクルミの細胞の中にあります。植物の細胞には細胞膜の周りに硬い細胞壁があるので、α -リノレン酸を取り出すためには細胞壁を壊れやすくする必要があります。そこで、細かく砕くことで細胞同士がバラバラになり、壊れやすくなります。
細かく砕かれたクルミは、さらに胃液などでふやけて、酵素が働きやすくなり、細胞壁に穴をあけて、α -リノレン酸が吸収しやすくなります。
ところで、クルミと一緒に摂りたいものに牛乳があります。クルミは栄養素のバランスが非常によい食材ですが、たんぱく質だけが足りていません。そこで牛乳と一緒に摂ることで、栄養素をまんべんなく摂取することが出来るからです。
しかも、細かく砕いたクルミを牛乳と混ぜることで、牛乳の水分でクルミの細胞壁がふやけるので一石二鳥です。
1日のクルミの摂取量としては、片手軽く山盛り一杯、約40グラム程度が推奨されています。
くるみ