クロレラは直径3〜8μm(ミクロン)のほぼ球形の単細胞緑藻で、1890年(明治23年)にオランダの科学者バイエリンクにより発見されましたが、クロレラの起源は古く、今から約20億年前に誕生したと考えられています。
クロレラには約20種類の種(スピーシズ)があり、一般的には、ブルガリス・エルプソイデア・ピレノイドサ・レギラリスなどの種が食用とされていて、その種類によって成分などが大きく異なるといわれています。
なかでもクロレラ・ブルガリス・チクゴ株から抽出されたエキスをCVE(Chlorella Vulgaris Extract)といい、生体防御機能や細胞の機能を回復・向上させるはたらきが期待されています。
CVEは、糖の結合体の一種でネバネバ状の性質を有する多糖体をはじめ、糖たん白、核酸関連物質などで構成されていて、免疫系や恒常性維持機能を回復・向上させるはたらきがあることで、高血圧・糖尿病、アレルギーなどに効果があると考えられています。
クロレラ・ブルガリス・チクゴ株を事務系の仕事をしている人45名(平均年齢43.2歳、男性21名、女性24名)に、1日6g摂取してもらいメタボリックシンドロームへの効果を観察しています。
試験期間は、2週間の非摂取期間と6週間の摂取期間の合計8週間とし、開始日と6週間後に身長、体重、血圧の測定と採血を行なっています。なお、試験期間中の食生活や運動などの生活習慣は普段どおりとしています。
その結果、血糖値・中性脂肪の低下、動脈硬化指数・肝機能指標の改善、善玉コレステロールの増加効果があったとされています。
対象者の17名が高血圧で、高血圧でない28名の試験データと比較すると、高血圧群は非高血圧群に比べ、血圧だけでなく総コレステロール、中性脂肪、肝炎や脂肪肝などの原因となる肝機能の悪化の指標であるALTやγ-GTP(肝機能指標)の値も高く、メタボリックシンドロームの危険因子を多く持っていることが判明しています。
クロレラ・ブルガリス・チクゴ株摂取前後の変化を見ると、高血圧のグループにおける最高血圧が低下し、γ-GTP、ALT(ともに肝機能の指標)、総コレステロール、中性脂肪の値は、いずれも、クロレラ・ブルガリス・チクゴ株の摂取により高血圧のグループにおいて、非高血圧のグループと比較して顕著にその数値が低下したと報告されています。
これらの臨床研究から、クロレラ・ブルガリス・チクゴ株には、特に高血圧の人の代謝異常を改善し、メタボリックシンドロームのリスクを低減する効果が期待できるとされています。
そして、クロレラ・ブルガリス・チクゴ株は、血中のアディポネクチン濃度を増加させる作用があります。アディポネクチンは、標準的な体格の人の血液中には多く存在し、内臓脂肪が増加すると、反対にアディポネクチンは減少することが知られています。
アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される分泌蛋白です。肝臓のAMPKを活性化させることによるインスリン感受性の亢進、動脈硬化抑制、抗炎症、心筋肥大抑制などの作用があるといわれています。
これらのことから、クロレラ・ブルガリス・チクゴ株は、メタボリックシンドロームの予防・改善に効果が期待できると考えられています。