カナダのサスカチェワン大学の研究によると高血圧自然発症ラット(spontaneously hypertensive stroke-prone rats、SHR)にブロッコリー・スプラウトを与えたところ、酸化ストレスが減少して、高血圧や炎症が改善することが判明したと報告されています。
ブロッコリーやその発芽物であるブロッコリースプラウト(ブロッコリーの芽)には、スルフォラファンが豊富に含まれています。
スルフォラファンは、ブロッコリーに微量含まれるフィトケミカルの一種で、ブロッコリー、キャベツ、かぶ、菜の花、わさび、芽キャベツなどのアブラナ科野菜に共通する有効成分のイソチオシアネート類に分類されます。
イソチオシアネート(Isothiocyanate)は、もともと辛味成分の一種で、わさびや辛味大根などの刺激のある辛味のもとです。イソチオシアネートの辛味や刺激は、本来、植物が虫に食べられないようする役割を果たしていると考えられています。
スルフォラファンは、その前駆物質であるスルフォラファングルコシノレート(SGS)の状態でアブラナ科植物に存在していて、刻んだり、咀嚼するなどにより、 酵素ミロシナーゼ(チオグルコシターゼ)と反応・加水分解されることで、スルフォラファンに変化します。
スルフォラファングルコシノレート(SGS)は、120種ほど存在しているといわれるグルコシノレート(配糖体)の一種です。高濃度のSGSは、特定品種のブロッコリーの発芽3日目のスプラウトに最も多く存在することがつきとめられており、普通のブロッコリーと比べて特定のブロッコリースプラウトにはスルフォラファンが100倍以上ともいわれています。
高血圧やアテローム性動脈硬化症やがんの発症要因は、活性酸素による酸化ストレスと考えられています。したがって、抗酸化物質のビタミンCやビタミンEの摂取がこれらの症状の予防改善に効果が期待されています。
スルフォラファンもまた、抗酸化作用をもたらすことで、高血圧などに効果が期待されています。そして、スルフォラファンの抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンEなどとは異なり、長時間作用し続けるという特徴を持ちます。
ビタミンCが摂取後数時間でその効果を失うのに対し、スルフォラファンの効果は約3日間持続します。これは、スルフォラファンの抗酸化作用が抗酸化酵素によるものであり、スルフォラファンがこの抗酸化酵素の生成を促すという間接的な働きをするためです。
スルフォラファンの摂取目安は、1日でおよそ30ミリグラムの摂取が推奨されています。これは、成熟ブロッコリー1株分(約230グラム換算)に相当します。
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