メタボリック・シンドロームは、高血圧や心筋梗塞、脳卒中など死亡率が高いとされる様々な病気を引き起こす動脈硬化症になりやすい人の早期発見と治療を目的につけられた病名といってもいいといえます。
その動脈硬化の原因のひとつに、血液中のいわゆる悪玉 (LDL)コレステロールが活性酸素によって酸化されることで生じた、粘性の高い過酸化脂質が血管の内側にこびりつくことがあげられます。
ビタミンE は、細胞を覆う細胞膜に多く存在していますが、血液中でコレステロールや脂質を運ぶ リポタンパク質の中にも存在します。そこでビタミンE の強力な抗酸化力が働くことで、過酸化脂質の生成を抑制でき、動脈硬化症の予防や改善に役立ちます。
ビタミンE は、脂溶性であることから、水洗いなどで失われる心配はなく、熱や酸では壊れにくいですが、光・紫外線・鉄などには不安定で分解されやすい性質を持っています。体内では、肝臓、脂肪組織、心臓、筋肉、血液、副腎、子宮など多くの組織で蓄えられます。
からだのいたるところに存在して、強い抗酸化作用をもたらすことから、血流を改善する効果や生活習慣病の予防・改善効果だけでなく、若返りのビタミンとも呼ばれ、老化を防ぐ効果、美肌効果、生殖機能を維持する効果などが期待されています。
ビタミンE は、ほかのビタミン等と一緒に摂ることで相乗効果によりさらにその抗酸化作用が高まります。ビタミンC は、抗酸化作用が知られていますが、ビタミンE の抗酸化作用をより高める働きがあります。また、ビタミンA にはビタミンE とビタミンC の抗酸化作用を長持ちさせる効果があり、さらにビタミンE には、ビタミンA の酸化を防ぐ効果があります。
そのため、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、は一緒に摂ることで相互に作用を高め合う抗酸化ビタミンとして、ビタミンACE (エース)ともいわれます。そのほか、β-カロテンや、ビタミンB2、セレンなども合わせて摂ることでメタボ対策だけでなく、さらなる老化防止効果が期待できます。
ビタミンE を含むものとしては、ひまわり油、コーン油、オリーブ・オイル、キャノーラ油、大豆油などの油脂類、アーモンド、落花生、大豆などの種実類、キャビア、いくら、たらこなどの魚卵類、青魚、うなぎ、マヨネーズ、キャベツ、西洋かぼちゃ、アボカドなどがあることで、通常の食生活で極端に欠乏する事はないとされています。
しかしながら、コレステロールの値が高い人などは、積極的に摂取することが求められているといえます。ただし、過剰摂取の弊害も報告されていることから、サプリメントなどによる安易な摂取は注意が必要です。
ビタミンE の、成人男性の目安量7.0(mg/日) 耐容上限量800(mg/日)、成人女性の目安量6.5(mg/日) 耐容上限量650(mg/日)という数字があり、年齢に応じて若干異なるようですが、一応目安にはなるといえます。