総コレステロール値と死亡の危険度を調べた研究がいくつかありますが、例えば、大阪府八尾市の住民1万人を11年間追跡調査したものがあります。それによると、女性の場合は、総コレステロール値が200〜240が最も低く、男性の場合は、240〜280が最も低いという結果が出ています。そのほかの研究でもおおむね似通った結果が出ています。
さらに、がん死亡とコレステロール値の関係も調査されていて、それによると、男性は、240未満でコレステロール値が低いほど死亡危険が高く、女性は160未満で同様の結果が見られています。これは、がんを抑制しているキラーTリンパ球にとって、コレステロールが重要な働きを持っているからだと考えられています。
そして、男性の死亡の危険度の最低値を示した240〜280は女性も同じ値を示しています。したがって、男女とも240〜280の値であれば正常値と捉えて問題はないのではないでしょうか。
コレステロールはからだの細胞をつくる大切な成分です。俗にHDLを善玉コレステロール、LDLを悪玉コレステロールといいますが、HDLはいわば掃除屋であり、からだの細胞にコレステロールを運ぶ大切な役割を果たしているのはLDLの方です。
したがって、コレステロール値については、現状の基準値は再評価が必要なのではないかと考えられます。