黒豆が含む、大豆タンパク質は、エネルギーを消費する作用を促す性質のあるタンパク質なんです。黒豆を摂ると、その大豆タンパク質が、交感神経を刺激し、活性化して、体重の調節作用を行っているといわれる褐色脂肪細胞を刺激します。
褐色脂肪細胞は、エネルギーを発生する脂肪細胞として知られていて、体の特定の部位に存在して熱産生をすることで、エネルギーを消費して体重を調節しているとされている細胞です。その結果、ダイエット効果を期待できるんです。しかも、大豆タンパク質は、この余分なエネルギーを消費する作用がほかのタンパク質に比べて大きいことがわかっているんです。
ダイエットには腸内環境を良好に保つことも大切なんですが、黒豆には優れたビフィズス菌増殖活性を持つ成分であるスタキオース、ラフィノースを含む大豆オリゴ糖を含んでいます。なお、大豆オリゴ糖は、煮豆、豆腐・豆乳、黄粉には含まれていますが、納豆、味噌、醤油にはほとんど含まれていません。
さらに、メタボでは血中コレステロールの値が気になるところです。大豆タンパク質は、血中コレステロールを低下させる作用があることが明らかになっています。黒豆を摂ると、大豆タンパク質は胆汁酸と結合するんですが、消化されなかった大豆たんぱく質は、体外に排出されるときに結合した胆汁酸と共に排出されます。
そうすると体内では、減少した分の胆汁をコレステロールから生成します。そのために体内のコレステロールが使用されることになるのでコレステロール値が低下することになるんです。
そして、黒豆の大豆油に30%程度含まれるオレイン酸は、血液中の善玉コレステロール(HDL)を増加させ、血中の悪玉コレステロール(LDL)を低下させる効果があるんです。このことで、血液をさらさらにするわけです。
黒豆は、レシチンと呼ばれるリン脂質を多く含んでいますが、この、大豆レシチンは、肝臓の脂肪を乳化させ血液に送り出し易くするとともに、レシチンの主要成分であるコリンは、血中の総コレステロールを低下させるんです。
コリンを材料とするアセチルコリンは神経伝達物質の役目をもっていて、コリンを補給することによって記憶力・集中力の増加や加齢に伴う記憶障害の改善が期待できるんです。
メタボでは、高血圧も心配なことです。黒豆の、大豆タンパク質が分解されてできるペプチドは、血圧の調節に関与する酵素であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを強力に阻害することがわかっています。
このACEの働きを抑えると血圧の上昇を抑制する効果が認められていて、実際にACE阻害剤は血圧下降剤として用いられているため、黒豆の大豆タンパク質にも血圧上昇の抑制効果があると考えられます。さらにペプチド類は抗酸化作用をもつことが知られています。なお、1日の黒豆摂取量目安の上限は乾燥黒豆70gです。