メタボの原因のひとつは糖質の摂り過ぎです。糖質を必要量より多く摂ると、一部は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されますが、この量には限度があり、限度を超えて過剰に摂取した糖質は脂肪として脂肪組織に蓄積されて肥満の原因となります。
したがって、精白米以外の雑穀米を摂ることは糖質の摂取を抑えることでメタボの予防・改善に効果があります。また、糖質が効率よくエネルギーに変換されるにはビタミンB1が必要ですが、例えば、赤米は、白米と比較して、ビタミンB1を約5倍、黒米は、ビタミンB1を約4倍含んでいるとされています。
糖質と並んでメタボの予防改善のために注意して摂らなければならないのが脂質です。脂質は重要なエネルギー源であり、生体調節機能もあります。また人は細胞膜の成分であるリノール酸やリノレン酸を体内で作り出せないため、食物から摂取する必要があります。
このように脂質は、摂らなければならない栄養素ですが、動物の脂質に多い飽和脂肪酸は総コレステロールを上昇させるので、過剰摂取には注意が必要です。それに対して、脂質含量の高い雑穀の脂肪酸は、リノール酸とオレイン酸などの不飽和脂肪酸が主体ですから、安心して摂ることができ、その脂質含有量は、アマランサス、エンバクが精白米の6倍、ヒエ、ソバが精白米の3倍という高い数値があります。
メタボの予防改善には睡眠も大切です。夜の睡眠中で眠りの深くなった時、成長ホルモンが分泌され、身体のなかで分解されたタンパク質を補充したり、傷ついた筋肉のタンパク質を補修したりしてからだを正常にする作業が行われています。ですから、実は夕食に良質のタンパク質とその仕事を助けてくれるビタミン類をたっぷり摂ることが大切です。
食品に含まれているタンパク質をあらわす指標にアミノ酸スコアがあります。穀類は、ほとんどの場合精白米を含めてあまり良い数値ではないのですが、ソバ、ダッタンソバ、アマランサスだけはアミノ酸スコアが100で、牛乳・卵・肉類並みのアミノ酸バランスを示します。
雑穀はビタミンA、Cはほとんど含んでいませんが、例えば、ビタミンEは、アマランサスとダッタンソバが最も多く、ライ麦、ソバ、アワも優れています。さらに、ソバはビタミンB1、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸を多く含みます。ビタミンB1は若い女性に欠乏が多いだけでなく、全国的に欠乏傾向にあります。ダッタンソバにはビタミンB2、ビタミンB6が多く含まれ、中でも脂肪燃焼に関係するビタミンB2の含有量は突出しています。
したがって、メタボ対策には、雑穀米を摂ることが効果があるんですが、その際には、様々な雑穀を合わせて摂ることがより効果的といえます。また、食味に問題もあります。雑穀は精白米と比べると食味が劣りがちといえます。それをカバーするためにも多くの種類の雑穀が必要といえます。